6月18日のNHKニュースによると、LCCから国土交通省に、乗客が少ないことが事前に分かった場合は欠航できるように規制を緩和して欲しいとの要望が出いることから、国内線の定期便にこの理由で欠航を認めるかどうか検討を始めることにしたそうです。
これはちょっと信じられないニュースです。
国内線の定期便というと、ピーチ、ジェットスター、バニラエア、春秋航空の4社。
細かくはこれから検討していくのでしょうが、もしこれを単純に認めるとしたら問題はたくさんあります。
まず、乗客が少ない場合とはどのぐらいの人数のことなのか。
半数なのか、三分の一なのか、四分の一なのか。
各社国内線の乗客数は1機あたり180人ぐらいなので、四分の一でも45人です。
次に乗客が少なくて欠航する場合、いつ連絡がもらえるのか。
最近の航空券は半年前から買えたりしますので、旅行の計画を早めに立てる方も多いです。乗客数は運航間近にならないと分からないでしょうし、かと言って直前に欠航を決定されても困ります。
そして欠航となれば当然払い戻しはされますが、航空券がその価格で買えたからこそこの旅ができる、という計画の立て方もあります。他の便で取り直すと価格がかなり上がるので今回の旅行はできない、ということも頻繁に起こり、そうなれば計画を立てた時間が無駄になります。
当日の他の便に振り替えてもらうというのが一番マシですが、運航時刻が変わり、他社の便だとチェックインカウンターが変わり、そして席も変わる。自分はよく座席指定をするので、席が変えられてしまうのもちょっと嫌ですね。
日本にLCCが就航して約5年。
残念ながらいまだに安かろう悪かろうというイメージが付いてまわります。
安全面で言えば各社これまでもちろん事故を起こしていませんし、トラブルも大手航空会社より少ないです。それでも一度でも大きなものを起こしてしまえば、「やっぱり安いから」というイメージを持たれます。
今回のニュースはトラブルではありませんが、まさに「やっぱり安いから」という感想を持たれてしまうニュースで、LCCにとってマイナスでしかありません。
改定が認められれば採算面で難しかった地方と地方を結ぶ路線の開設が可能になる、運賃の引き下げにもつながる、としていますが、不安定な運航をする航空会社は敬遠されますし、運賃ももう十分すぎるほど安いです。
飛ぶかどうかもわからない会社よりも、少し高くても飛んでくれる会社に利用者が流れるのは目に見えます。
飛行機はただでさえ天候などに大きく左右される乗り物ですが、それにプラスして運航は乗客数次第となるのは厳しいです。利用者は減り、それにより欠航が増え、さらに利用者が減り、撤退へ、と負のスパイラルに陥りそうで怖いです。
各社乗客数に応じた運航便数の調整や競合の少ない路線に就航するなどの工夫はしていると思いますが、もし今回の改定を行わないと経営が厳しいというのであれば、無理なセールはせず、逆に基本運賃を少し上げて安定運航をしてもらった方が遥かに印象が良いですね。運賃を上げるとしても、LCCらしい良いバランスのところがあると思います。
LCCは他の航空会社と比べると少し不便なところはあるけれども、手軽に移動でき、気軽に遠い場所へ行ける。自分自身よく利用しますし、本当にありがたい存在です。
それでも「乗客が少ない場合は欠航するようになるかもしれない」は衝撃で、とても残念で、こまごまと書いてしまいました。
まだこれから色々と検討していく所だと思いますが、もしこの改定が行われるのであれば利用者が納得できるきっちりした制度や対策が必要だと思います。